炎の蜃気楼

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松本に住む高校生・仰木高耶の身辺では怪現象が頻発していた。それは、親友・成田譲の奇妙な言動をはじめ、白昼、人間が突如蒼い炎に包まれるのを目撃したりと、日常では起こり得ない現象ばかりだった。

“400年にも渡り宿体を換え生き続けてきた—“という信じ難い話をすぐに受け入れられるはずもなく、反発する高耶だが、直江は突如現れた骸骨武者を目の前で事もなげに調伏し“闇戦国”が現実に起きているという事実を突きつける。

信玄の怨霊に憑坐にされた譲を救出する為に松本城に向かう高耶の前に武田方の骸骨武者たちが立ちはだかる。

平穏な日々が戻ってきたのも束の間、高耶は再び奇妙な現象に遭遇する。高耶の親友を名乗る千秋修平という男に全く心当たりがないのだ。

“クラスメイト”千秋修平の存在に相変わらず不信感を抱く高耶。直江は城北高校全体が奇妙な空気に包まれているのを感じ、高耶に気をつける様、忠告する。

益々過激になる幽霊騒ぎを鎮めるため、直江と綾子は城北高校へと向かう。時を同じくして高耶も”自分なりの決着を着ける”ために現場に赴くが、上杉に反発するあまり直江たちに素直になれない。

依然、自ら封印した景虎の記憶は戻らないものの、織田からの仕掛けにより期せずして、高耶は〈調伏力〉を取り戻した。しかし、それは織田方に景虎の存在を知らしめる結果となってしまった。

信頼していた直江が自分に対して抱いていた、感情に傷ついた高耶は、自らのコントロールを失い、＜力＞を暴走させてしまう。

新宿の街で倒れていた高耶は、見知らぬ男に助けられる。全く面識の無い筈のその男に高耶は奇妙な懐かしさを感じ、やり場の無い想いを激白する。

景虎の実兄、北条氏照によって北条方に拉致された高耶を救出する為、直江は箱根に向かう。そこには“つつが鏡”に魂を封じ込まれ、もぬけの殻となった高耶の“肉体”が横たわっていた。

“六道界の脅威”と恐れられる成田譲の強大なる力を利用する為、北条家の長兄・氏政は日光で大がかりな儀式を執り行うべく、譲を屋敷に監禁する。そこでは織田方の森蘭丸が譲の力を覚醒させるべく、呪法を施していた。

上杉を捨て北条家に寝返える意志を表明した直江は、信頼を得るため“仰木高耶の肉体を殺害せよ”との条件を氏照から突きつけられる。氏照が見届ける中、直江は清められ神力で守護された高耶の身体を穢し生命活動を停止させた。

日光では木縛(こばく)された霊魂をエネルギーとする、恐るべきパワーを秘めた「火合(かごう)の法」が北条氏政らによって執り行われようとしていた。